Jazz cafe 今昔物語



レコードに針を降ろす瞬間、いつもボクは息を止める。
緊張の一瞬だ。
アンプのボリュウムを少しずつあげてゆく。
Jazz cafeのマスターは、”演奏家”なのだ。
お気に入りのレコードを”どう鳴らすか”腕の見せ所。
レコード針や盤の状態、スピーカーの調子。
全てが良い状態じゃないと、心に届く演奏は出来ない。

品の良い老夫婦のお客様。
食事も終わりワインを楽しんでいらっしゃる。
ボクは手が空いたので、それまで流れていたCDからさりげなくアナログ盤に変える。
選んだのは『サラ・ボーン』”How long has this been going on?”
ピアノ:オスカーピーターソン、ギター:ジョーパス、ベース:レイブラウン、ドラムス:ルイベルソン。
豪華メンバーの演奏が始まった。
一曲目、”I've got the world on a string”
お二人のお顔がほころんだ。
奥様が、「素敵な夜」と仰ったので、「お二人の雰囲気からサラボーンを選んでみました」とボク。
「有り難う。食事も美味しかったですよ」とご主人。
一月中旬の夜だった。
外は、雪がちらついて来た。

続く・・・